象 牙 彫 刻  駒 田 龍 哉 の 世 界



※ 駒 田 龍 哉 の 作 品 製 作 の エ ピ ソ ー ド な ど ご 紹 介 し て い ま す 。 ※

※  10000回のご訪問 ・・ 有難う御座います。

※  秋の夜長・・こんな事が・・ 

※ 『 銀 座 百 点 』 2011 -1- 月号  (NO 674) 

※ 「 猫 」シリーズ  -1- 

※  象牙の「夜叉染め」をご存知でしょうか・・・ 


※  「 般 若 」 の ご 紹 介 ・・ 

※ 「展示会」・・出会い と 作品の旅立ち・・ 

※ 「 猫 」シリーズ  -2-  

※  ブローチの新作 「 龍 ]  製作途中の一コマ 

※  作品のモデルたち・・・ 

龍  哉  の  シ ョ ー ト ・ シ ョ ー ト


ご来訪有難う御座います。

(表紙頁カウンター)

2013 - 08 - 07





      ※ 10000回のご訪問 ・・ 有難う御座います。

2009年の夏、思いついてホームページを開設しました。インター

ネットには全くの素人が作った作品紹介のホームページなのですが、

画像や作品のご説明などお客様にはきっと物足りないと思いつつ、

まる4年が経ちました。 そしてこの猛暑の夏 お客様の閲覧回数が

お陰様で10,000回を超えました。 小作品を主とした作品紹介

の展示が主なページなのですが、沢山のお客様にお訪ね頂き、厚く

御礼申しあげます。 龍哉が世に出たころからのお客様や、新作を

お求め頂いたお客様、象牙彫刻の仲間、色々な世界でご活躍の作家

の皆様、またご面識の無い方々からも「見ましたよ」などと云われ

たり・・で、その度に頑張らねばと自分に云い聞かせております。 

ご訪問 まことに有難く感謝いたしております。有難う御座いました。


今年の「凪之会」展示の連絡も入り始めてきました。今回もご好評を

戴ける様な作品をご披露できるよう精進しなければと思っております。 

残暑厳しき折、お客様のご健康とご多幸を祈念いたしております。

                       (2013-August)

般 若 (額装仕様)













      ※ 「 般 若 」 ・・

「般若」は怒り、嫉妬、恨みのこもった女性の怨霊の能面です。今回

縮尺四分の一で彫りました。大変恐ろしい表情なのですが、不思議な

事に彫っていくうちに何やら微笑んでいるように見えたり、ふと優しい

顔に見えたり、そしてこの上なく悲しげな顔に見えたりと様々に表情

が変わっていきます。 やはり女性の嫉妬や怒りそして恨み、悲しみ

の極限を感情表現させた鬼女の面のせいなのでしょうか。彫り進んで

いけばいくほどに面には命の宿りのようなものを感じますし、その奥

深さも強く感じます。 私などは未だまだ、その奥深い幽玄の世界の

ほんの入り口に居るに過ぎません。「般若」の面(おもて)はいつも、

とんでもなく奥が深く難しい世界である事を思いしらされます。 

ただ能面の古作、秀作を見ていると本当に惚れ惚れしてしまい、その

見事さに魅かれてしまいます。 やはりこんな思いを伝え残したいと

いう気持ちから作っているのでしょうね。 これからもとんでもなく

長い精進が必要だと、今回「般若」を彫ってみて改めて思いましたが

何故か緊張の中にも左刃が楽しく軽く動いてくれました。 この世界

・・修行、修行・・何時までも勉強と研鑚に果てが有りません。

                         (2013-March)

 小 面 (額装仕様)











 小 面 (帯留め仕様)



     ※ 秋の夜長・・こんな事が・・ 

秋の夜長・・40年この仕事をしていて初めての経験でした・・。

「小面」は私のもっとも好きな作品です。 晩秋の深夜・・思うように動いてくれる

左刃に興にのり、ひとり「小面」に向かい仕上げにかかっていました。 若い女性の

美しくもキリリと引き締まった表情が、見方よって愛らしさ哀しみなど様々な表情を

見せる「小面」。 私の思い描いた凛とした強さを奥に隠しつつも美しくさわやかな

色香の漂う「小面」の表情を仕上げるべく小面に向き合っていました。 やはり仕上

げの最後に「目」を彫る時に一番神経を使います。「鼻」が決まらなければどのよう

に彫っても「顔」がまとまらなく神経を使うのですが、それ以上に彫刻家の腕を試さ

れるのが「目」。 今まで何点小面を彫っていても、満足な「目」が彫れた事があり

ません。 あの夜、あの時は『今度は気を入れて!』との強い思いで「目」を決めて

いる時の事でした。 私の「小面」への思いを左刃の刃先に込め「小面の目」を決め

ている時、ゆっくりと徐々に徐々に表情の表れてくる「小面」の目と彫刻師の視線が

交錯するなか、突然に私の左刃を持つ手が強張り動かなくなりました。 同時に左刃

をあてがい「小面の目」に見入る私の視点も動きを止め、硬直してしまいました。 

・・ふと気づくと感情のみが、なにもない『無』の感情の中で「小面」と見つめあい

固まっている自分を客観的に眺めていました。 ・・ そして、『どうした・・』

『どうした』と自分に問いながら、身震いをし、頭を上げ、視線を変え、大きく息を

吸って ・・ ようやく自分をとり戻しました。  強張っていた手足を無理やりに

伸ばし、混乱している自分を取り戻し、彫刻師 龍哉 の自分を確認するため、何故か

作品のデッサン、手順確認の控えそして注文書までを先ほどまで左刃を当てていた

「小面」と見比べていました。  何度も何度も見比べ、間違いの無いことを確かめ

気持ちを静め ・・、 先ほどまで心に描き決めていた通りの「小面の目」をいっき

に彫りました。   ・・無の心境で左刃の動くままに・ ・


感情移入が過ぎたのでしょうか。  理由は解りませんが、束の間とは言え「無」の

境地で作品と向き合っていた感情も残っていて、象牙彫刻師の仕事に就いた私自身に

とって幸福な心もちになっています。  どんな作品を彫っていてもああいう感覚に

なれたら・・と。
          
                           (2011-Dec)

 


   2011 秋  展 覧 会

     「 凪 之 会 」







   帯留め 「 犬 箱 」








 「 犬箱 ]   ※ 展示会 ・・ 出会い と 作品の旅立ち ・・ 

象牙彫刻師が「左刃」の刃先に心血を注いで彫り、染め、形を成した

作品が思い描いたとおりの作品に仕上った時、ひそかな満足感に浸り

ます。 それらの作品がお客さまにお求め頂き、手元を去っていく時、

今度は悦びと共に一抹の寂しさに駆られ、また 同時に「お客様を

お傍でしっかりとお守りし、お客様に尽くしなさいよ・・、そして

可愛がっていただきなさいよ・・」と、言った感情に引き込まれます。 

先般の展覧会 (2011-09-26〜10-01凪之会) で、このような出会い

が有りました。  展覧会場の側をたまたま通りかかられた、香川県

から上京中の素敵な女性から 帯留め「犬はこ」 のご注文 ・・ 。

「犬はこ」への造詣が深く、収集もなさっておられる方で、展示中の

作品を気を入って下さったのだそうです。 後日、帯留め「犬はこ」

が四国のこの方のもとに旅立って行きました。 「お客様にしっかり

とお尽くしし、お守りしてお傍で可愛がって頂きなさいよ ・・ 」 

との作者の気持ちも一緒に ・・ 。 

こうした たまたまの素敵な方との 出会い と 作品の 旅立ち なども

あって、展覧会はいつも楽しみにしております。

                        (2011-Nov)


『 銀座百点 』 -1- 月号


[ 花うさみ ] (7ページ)


  ※ 『 銀 座 百 点 』 2011 -1- 月号  (NO 674) 
 
 今年は卯年。 日本の気運も大きく跳ねてほしいものです。 

 銀座百店会発行の「銀座百点」誌 1月号 に今年も作品を載せ

 て頂きました。 江戸の昔より和装小物を扱っておられる銀座

 の老舗『 くのや  』さんの頁で[ 花うさみ(花うさぎ) ]を

 とりあげて頂いております。 [ 花うさみ ]は[ うさみ ]に

 珊瑚と夜光貝の花模様をあしらった 帯留め 仕様の作品ですが、
  卯年を迎えるにあたってか、昨年からご好評を頂いております。[ うさみ ]は、ペンダント

  弐 頁 に展示しています。   ( 左上[ 花うさみ ]の画像のクリックで、画像が拡大表示されます。)  

                                             (2011-Jan)
       銀 座 く の や さん
 東京都中央区銀座6−9−8 рO3−3571−2546



 「 猫 」シリーズ『ごあいさつ』




   ※ 「 猫 」シリーズ  -2-  

 私の作品のモデル・・家族同様の 猫たち とは言え、勝手気侭

 自由奔放な猫たちの生活の一瞬を切り取り、作品に彫り上げる

 にはそれなりの苦労もあります。 作品の仕上げの要はやはり

 「目」。画龍点晴・・の言葉のとおり「目」の形成、彫り込み

 には最も神経をつかいます。 「ごあいさつ」は私の好きな黒

 の子猫がモデルですが、見方によって子猫のおすまし顔や興味

 津々の表情が「目」をとおして感じられませんか。これからも

 モデルたちの協力に応えたく頑張ってみます。  
                       (2010-May)


「 猫 」シリーズ

 
  ※ 「 猫 」シリーズ
 
 我が家の居候猫たちが作品のモデルに・・・と、ご報告しまし

 たが、猫たちをモデルにした幾つかの作品をまとめて展示して

 みました。気侭で勝手自由な猫たちの仕草と表情を切り取り、

 彫り上げるのは苦労を要しますが、猫たちの協力を得て作品を

 増やしてみます。  帯留とペンダントのコーナーへどうぞ。

 ( 上段中央右はモデルの「お嬢」 )         (2010-May)

 

   ブローチ「龍」の製作



    
 
 ※ ブローチの新作 「 龍 ]  製作途中の一コマ
 
左刃の技法で掘り込み、次に夜叉染めで全体を染め上げてから

白く抜きたい所だけを磨きで落としていく、技と根気と細心の

注意を要する製作でした。作品展示頁の中央にセピア色の写真

を配していますが、この画像は ブローチ「 龍 」の製作途中

を写した一コマです。           (2010-Jan)




 銀座100店会発行「銀座百点 2010年 1月号(No.662)」の誌上で、
 江戸の昔創業の和装小物を扱う老舗の紹介欄の中、「 龍 」の製作途中
 を写した一コマが取り上げられ、 職人の技 として紹介されました。
 (「銀座100点」誌画像のクリックで紹介記事がポップアップされます。) 


 ※ 象 牙 の 「 夜 叉 染 め 」






 
  ※ 象牙の「夜叉染め」をご存知でしょうか・・・?
 
 能面根付「こべし見」の彩色をご覧ください。 乳白色の象牙
 
 で彫られた「こべし見」を日本古来の染色の技法「夜叉染め」
 
 の技(わざ)で染めあげました。この渋く格調高い色合いには、
 
 カバノキ科の落葉高木ハンノキ(榛の木)の 実 (左写真:下)
 
 を煎じてつくる染料が使われます。榛の木の実を煎じ煮立てて
 
 抽出された染料に象牙を漬け、思った色合いを求め入れたり出
 
 したりを繰り返し、染めの途中では指の腹に磨き砂をつけ磨き、
 
 作品の濃淡を調整し・・を繰り返して仕上げていきます。染め
 
 上がった作品の一部を白く抜く時は、細い棒先に細かい磨き砂
 
 をつけ根気よく磨き落としていきます。 帯留「源氏考」に掘り

 込んだ扇では、細い筆を用いて繰り返し液をのせ 染めていきま

 した。 完成された作品のイメージを思い描きながらやり直しの

 きかない緊張をともなう「染」の作業ですが、「染」を繰り返す

 たびに少しづつ作品の表情が変わり、仕上がってくるのを見守る

 楽しみもあります。
 
 染めの技法には作家によって異なる手法があり 私の場合は先代
 
 (三代)龍抱から相伝された方法に私なりに手を加えています。

                       (2009-Nov)

 
作品のモデル たち




  ※ 作品のモデルたち・・・

 象牙彫刻師は日がな一日象牙に向い左刃の刃先に全神経を集中させ、
 
 左刃が動く毎に形を成してくる作品に命を吹き込んでいくのを生業
 
 (なりわい)にしています。 思うように刃先が動く時、時が経つ
 
 のを忘れ 夜のしじまに左刃が象牙をカリ、カリッと削る小さい音だ
 
 けが響き、いつの間にか夜が明けて窓に朝日が・・と言う事もよく
 
 あります。そのような深夜、私の傍にはいつも丸くなって寝ている
 
 ネコ達がいます。 ネコ達が疲れを癒してくれ、寝姿がモデルにも
 
 なり・・で、ねこ達の仕草の一瞬を切り取った作品がうまれました。

                         (2009-Sep)

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 三 代
(故)駒田龍抱
  
  かねてより療養中であった師匠であり父でもある 三代 駒田龍抱(日本象牙彫刻会発起人、顧問)

  が 平成25年8月10日夜 享年89歳 にて逝去致しました。

  ここに生前のご厚誼に深謝し謹んでご報告申し上げます。              四代 駒田 龍哉

 (左の画像をクリックして頂くと生前の龍抱画像 =銀座デパートでの展示会= が表示されます。[2010五人展]頁にて 龍抱 作品を収載しています。)